中小企業も来年4月施行!
パートタイム・有期雇用労働法
同一労働同一賃金で不合理な待遇差をなくそう
プロ子ちゃんが、派遣 先企業からの相談を受けて調べものをしていると、いつものようにぼしひこが邪魔しにきたようです。
ぼしひこ(以下:ぼ)
「プーロー子ーちゃん! 元気~? オレ、コロナの自粛期間中に5㎏太ってもーたわー。オンライン飲み会って遠くに住んでる友達ともできていいよなー。おりひめちゃんも俺とオンライン飲み会してくれへんかな~。へへへ…」
プロ子(以下:プ)
「ぼしひこくん、今日は何しに来たの? 私、このコロナ禍の間にできることはないかと、中小企業の『同一労働同一賃金の実現』に向けての資料をチェックしていて忙しいんだけど。」
ぼ:あ、それって『人プロつーしん20号*¹・21号*²』でやってた働き方改革のやつやんな? なんで今そんなんしてるん?
*¹ 人プロつーしん20号|社内整備待ったなし!「働き方改革」とは?
*² 人プロつーしん21号|同一労働同一賃金について〜会社のために一生懸命働いてくれる人を守れ!〜
プ:内容をあまり覚えていないんでしょう? 中小企業の『同一労働同一賃金』は来年4月(2021年4月1日)施行なの。つまりあと半年しかないのよ。あの時アナタ『社長の星になる!』って息巻いてたと思うけどどうなったの?
ぼ:あー、コロナのせいでバタバタしてそれどころじゃなかったから、正直ピンときてへんなぁ。そもそも中小企業ってウチ関係なさそうやねんけど。
プ:そういうと思ったわ。まずはこれを見てほしいの。2021年4月に間に合うように対策をしなくてはならない中小企業の範囲よ。
■パートタイム・有期雇用労働法の施行にあたっての中小企業の範囲
※出典:厚生労働省HPより
ぼ:え? これみてたら中小企業の範囲って大企業以外全部! ってことじゃない? 数人しか労働者のいない会社でも対象になるってこと?
プ:そうよ。だから関係ないなんて思ってちゃダメよ! 同一労働同一賃金の実現に向けての重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
★重要ポイント
①不合理な待遇差をなくすための規定の整備
②労働者に対する待遇に関する 説明義務の強化
同一労働同一賃金は簡単にいうと、同じ仕事をしているなら、正規・非正規関係なく、賃金や福利厚生などの待遇を同じものにしなさい、という考え方のことよ。 会社でパートさんや有期雇用の人を雇っているなら、必ず確認・整備が必要になるわ!
■不合理な待遇差をなくすための規定の整備
基本給や福利厚生などのそれぞれの待遇について個別に比較し、個人個人の仕事の内容や責任の程度などが同じであれば同じ賃金・待遇を、違いがあれば違いに応じたものにしなければいけないわよ。
①基本給
・能力または経験に応じて支給するもの
・業績または成果に応じて支給するもの
・勤務年数に応じて支給するもの
②各種手当
役職手当・特殊勤務手当・通勤手当・出張旅費・単身赴任手当・食事手当、退職手当・家族手当・住宅手当など
③教育訓練
現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しているもの
④福利厚生
・食堂・休憩室・更衣室の利用 ・転勤者用社宅・慶弔休暇・健康診断に伴う勤務免除・有給保障・病気休職など
その他にも、賞与や昇給など各企業によって、さまざまな基準で賃金や待遇が異なることが実際にはあると思うけれど、本当に不合理でないのか再検討が必要よ!もし支給しないのであればそれがキチンと説明がつくものかどうか確認しましょう。
■労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
厚労省がだしているガイドラインは正社員の人とパートや有期雇用の人との間で共通の賃金の決定基準・ルールを採用していることが前提になっているの。だから、もしも実情で相違がある場合は、ガイドラインに当てはらないことがあるかもしれないわ。
でも、その待遇差について『パートだから』『将来への期待値が異なるから』等という説明では不十分なの。『職務内容』『職務内容・配置の変更範囲』『その他の事情』を客観的・具体的に考慮して、賃金の決定基準・ルールの相違が不合理なものではないという説明をする必要があるのよ。
ぼ:だんだんわかってきたような気はするけど、不合理かどうかの判断基準って難しくない?
プ:そうね、不合理な待遇差がダメなことはわかってきたけど、どういったことが不合理なのかってイメージしづらいわよね。
ただ待遇を一緒にすればいいってわけじゃないのよ。 同じ企業内で働く正社員とパートや有期雇用者との間で仕事内容に違いがあるときには、その違いに応じてバランスのとれた待遇の実現を目指していかないといけないの。
そのうえで待遇決定に際して考慮した事項や、待遇差の内容・理由について、労働者側から説明を求められたら、きちんと答えられるようにしておく必要があるわよ。
ぼ:とにかく、待遇に疑問を持った労働者がおったら、真っ当な理由を提示できるようにしとかないとあかんってことやな!
プ:そういうことよ。今も最高裁で〝不合理な待遇差〟について5件もの裁判が進められているわ。賞与や退職金の支払いに関しての不合理が最も訴訟が多いようね。
ぼ:最高裁!? 企業の信用・信頼にもかかわるし、それって大ごとやん!
プ:そうよ、どう? 残り半年でいろいろ見直さなければならないことがあるでしょう?
ぼ:なんか見直しにあたって、アドバイスとかってもらえたりせーへんの? ひとりじゃ無理やわーーー!
プ:厚生労働省HPに『パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール』があるわよ。比較対象となる正社員と非正規雇用労働者を設定し、設問に回答を入力すると、対応しなければならないことやアドバイスがもらえるの。
同一労働同一賃金についての解説動画も公開されているからチェックしてみるといいわ! あとは人材プロオフィスにもお気軽にご相談いただいて大丈夫よ!
ぼ:マジでプロ子ちゃん頼りになるわ~(泣)