ついに義務化!
ハラスメント対策
中小企業も22年4月改正法施行
───ハラスメントって何?
ハラスメントとは、さまざまな場面で相手の意に反する言動によって不快な感情を抱かせること(嫌がらせ・いじめ)を言います。その種類は様々ですが、自分ではそんなつもりがないと思っていても相手が不快に感じたり、尊厳を傷つけたり不利益を与えたり脅威を感じさせるとハラスメントになります。
ここ10年で企業におけるハラスメント相談件数は2倍以上になっています。企業は労働者が働きやすい環境を作るためにも、ハラスメントに対する意識を高め何かあった時には迅速に対処しなければなりません。そのためにも、まずはどんなことがハラスメントと認識されているのかを理解しておきましょう。
ぼしひこ(以下:ぼ):プロ子ちゃ~ん♪ 元気? オレはすっかりリモートワークにも慣れて、むしろもうずっとこのままでいいんじゃないかと思ってるで♪
…にしてもプロ子ちゅわ~ん 今日もスタイル抜群やなぁ♡ やっぱ足細いとスカートも映えるよな~♡
プロ子(以下:プ) :ちょっとぼしひこくん! いまの発言はセクハラじゃないの?
ぼ:えぇっ!そんなつもりでいうたんちゃうで~
プ:ぼしひこくん、言った本人は無意識かもしれないけど、受け手は不快に感じてしまうこともあるんだからそういう発言には気を付けた方がいいわよ
ぼ:ぴえん。ごめんなさい~
プ:そういえば、ハラスメントって色々あるのよね。厚労省によると民事上の個別労働紛争の相談件数の9年連続トップは『いじめ・嫌がらせ』に関することらしいわ! いわゆるハラスメントね。そんな中でも職場ではパワーハラスメントが大多数をしめているみたいなの
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000797476.pdf
■パワーハラスメント
プ:通称:パワハラとは、同じ職場で働く人に対して、職務上の地位などの優位性を利用して、業務範囲外で精神的・身体的な苦痛を与えることよ
ぼ:パワハラってよく聞くけど、どこからがパワハラなんかの基準がようわからんねんな~
プ:そうね、だからパワハラ防止策として、通称:パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が2020年6月に大企業で施行されたの。中小企業も2022年4月から法の適用対象になるから会社として何をしなければならないのかチェックしたほうがいいわね。ぼしひこくんは何も知らないようだからパワハラの定義を教えてあげるわ!
職場におけるパワハラの定義
①優越的な関係を背景とした言動
例)職務上の地位が上位の者による行為、など
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
例)業務上明らかに必要性のない行為、など
③身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または労働者の就業環境が害されるもの
例)著しい暴言を吐く等により人格を否定する行為、など
プ:①~③の要素をすべて満たすものがパワハラとされているけど、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲だと判断される適正な業務指示や指導はパワハラにはならないわ
ぼ:へぇ~勉強になるわ~
プ:企業は職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務になるの。労働者に向けてパワハラの内容やパワハラを行ってはならない旨の方針を周知・啓発しなければならなかったり、あらかじめ相談窓口を設置したり、パワハラがあったら迅速かつ適正な措置を行わなければいけなかったり・・・
ぼ:ちょ、ちょっとプロ子ちゃん。メモとるからもう1回言って!
プ:早口すぎたわね・・・。これ以外にも法で定められた講ずべき措置があるから、詳しくは厚労省のページを見てもらうのが1番ね!適切な措置を講じていない場合には是正指導対象になるから要注意よ
厚生労働省HP:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!
ぼ:前もいろんな法改正の話聞いたけど、また知っとかなあかんこと増えたわ~
▼人プロつーしんバックナンバー:29号
■子の看護休暇・介護休暇の 取得単位の改正
■障害者の法定雇用率引上げ
■70歳定年等の努力義務化 他
プ:じゃあこの機会に、職場では他にどんなハラスメントがあるのか、一部を紹介するわね!
■セクシュアルハラスメント
プ:通称:セクハラとは、他者が嫌がっているにも関わらず、性的な嫌がらせをすることよ。 女性が被害を受けるイメージのあるセクハラだけど、 近年では男性が被害を受けることもあるみたい。セクハラについては自社の労働者と他社の労働者との間で発生したものであっても、企業は事実確認等の協力対応が義務付けられているわ。(男女雇用機会均等法)
■マタニティハラスメント
プ:通称:マタハラとは、妊娠・出産・子育てをする女性に対して嫌がらせをすることよ。マタハラは法律で禁止されていて、企業に防止措置が義務付けられているのよ。(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)
プ:ほかにも、パタニティハラスメント(通称:パタハラ)という男性の育児休業等に対する嫌がらせや、モラルハラスメント(通称:モラハラ)という職場だけでなく家庭でも起こるハラスメントなどがあるわよ
ぼ:パタハラって初めて聞いたわ!モラハラは無視したり、暴言吐いたりして嫌がらせすることやんな?
プ:そうよ。あと、新型コロナウィルスが流行している関係で新たなハラスメントが問題になっているのよ。ぼしひこくん、『コロハラ』『ワクハラ』って聞いたことあるかしら?
ぼ:え!そんなんあるん!?
プ:咳をしていたら『コロナじゃないの?』と嫌な顔をされたり、『ワクチンを接種しないなら自宅待機させる』というような嫌がらせ行為があるみたいね
ぼ:なるほどなー。パワハラ・セクハラ・モラハラぐらいしか知らんかったわー。ウィルスは確かに怖いけど言葉とか態度に出して人を傷つけたらあかんよな
プ:ハラスメントをしている人には自覚がないことも多く、注意しづらいこともあるのよ。でもハラスメントが横行する環境を改善しないことによってさまざまなリスクが生じる可能性もあるのよ
例えば・・・
・法的責任を負うことになる
・会社のイメージが悪くなる
・職場の生産性が悪化する
・職場の雰囲気が悪化する
・メンタル不調の従業員が増える
・退職者、離職者が出る
ぼ:せやなぁ…ハラスメントは見てもされても嫌なもんやもんな
プ:ハラスメントを発生させない為にも定期的に研修を開いて会社の取り組みやルールなどを従業員全員に教育し、ハラスメントを見逃さない環境を作ることが大事かもしれないわね
ぼ:あとは自分がされて嫌なことは相手にもしないって当たり前やけど、自分の価値観だけで言動するんじゃなくて、相手の立ち場に立ってどう感じるかを考え直す癖を付けるようにしていけばハラスメントは防げるよな!
プ:そうね。人によって傷つく言葉や態度は違うわよね。普段からコミュニケーションをとって、お互いに注意しやすいような風通しの良い会社になるのが理想的ね
▼厚生労働省による、ハラスメント関係の情報サイトです。